「ぎっくり腰」は、突然起こった強い腰痛を表す日常的な呼び方です。医療機関では「急性腰痛」などと説明されることがありますが、ぎっくり腰という一つの病気があるわけではありません。
急に腰が痛くなっても、原因や重症度は人によって異なります。「ぎっくり腰だから数日休めば大丈夫」と決めつけず、普段と違う症状がないかを先に確認します。
ぎっくり腰でよくみられる症状
物を持ち上げた瞬間、くしゃみをしたとき、椅子から立ち上がったときなどに痛みが始まることがあります。一方で、はっきりしたきっかけがなく発症する場合もあります。
- 動き始めに腰へ鋭い痛みを感じる
- 体を前後に曲げたり、寝返りをしたりすると痛む
- 腰の筋肉がこわばり、まっすぐ立ちにくい
- 痛みを避けるため、動作がゆっくりになる
痛みの強さだけでは原因を判断できません。腰の痛みに加えて、足のしびれや筋力低下、発熱、排尿・排便の異常がある場合は、別の病気や神経の問題を考える必要があります。
原因は一つとは限りません
腰には、椎骨、椎間板、関節、靱帯、筋肉、神経など多くの組織があります。診察や画像検査を行っても、痛みの発生源を一つに特定できない腰痛も少なくありません。
また、腰そのものではなく、血管、泌尿器、婦人科、消化器などの病気が腰の痛みとして現れることもあります。そのため、症状の経過と随伴症状を確認することが重要です。
まず確認したい危険なサイン
- 足に力が入らない、歩きにくい、しびれが急に強くなる
- 尿が出にくい、尿や便が漏れる、股の周辺の感覚が鈍い
- 発熱している、安静でも痛みが軽くならない、次第に悪化する
- 転倒や事故の直後に強い痛みが出た
- がん、感染症、骨粗しょう症などの治療歴があり、いつもと違う痛みがある
日本整形外科学会は、安静でも軽くならない痛み、悪化する痛み、発熱、下肢のしびれ・筋力低下、尿漏れなどを伴う場合には、速やかな整形外科受診を勧めています。
回復までの期間には個人差があります
急な腰痛の多くは時間とともに改善へ向かいますが、「何日で治る」と一律には言えません。最初の数日は動作のたびに痛みを感じても、少しずつ動ける範囲が広がるケースがあります。
逆に、日ごとに悪化する、痛みが長引く、足の症状が加わる、日常生活に戻れない場合は医療機関へ相談してください。早く治そうとして強いストレッチや自己流の矯正を行う必要はありません。
発症直後の基本的な流れ
- 危険な症状の有無を確認する
- 無理に姿勢を正さず、痛みが比較的少ない姿勢を探す
- 長期間寝たきりにせず、可能な範囲で日常動作を戻す
- 悪化や長期化があれば受診する
必要な対応は年齢、持病、発症状況、神経症状の有無によって変わります。このサイトでは一般的な考え方を紹介しますが、個別の診断や治療の代わりにはなりません。